高田 健 著『2015年安保、総がかり行動           ――大勢の市民、学生もママたちも学者も街に出た
(「図書新聞」18.2.10号)

 安倍晋三の傲慢で強気な政権運営が続いている。わたしは、敢えて、ファシズム政権とか極右政権とはいわないことにしている。なぜなら、彼の場合、理念なき空虚な政治屋といっていいからだ。猴浩民営化瓩鉢爛▲戰離潺ス瓩鯊佝罎垢襪世韻任茲わかるように、いまでは、反原発を叫んでリベラル的なスタンスを取っている小泉純一郎と共通の因子を持っていると見做していいと思う。小泉(都知事の小池もそうだ)も、薄っぺらなスローガンを言うだけの理念なき空虚な政治屋にすぎない。
 民主党の自己崩壊によって、第二次安倍政権が成立したのが12年11月、一年後の13年12月には、「秘密保護法」を強行採決によって成立させ、15年9月には、集団的自衛権を形骸化させる戦争法案(安保法制)を強行採決、そして今年になって、共謀罪法案も強引に成立させ、この間、安倍シンパだった籠池に対する想像を絶する国有地払い下げの値引きを行った森友問題、猜⊃喚瓩陵Г経営する加計学園に獣医学部新設を優先的に容認するという加計問題など、“政治”とは、些かも関係のない行為が露わになってきている。それでも、先の衆院議員選挙で依然、案定多数の議席を獲得して、安倍は、さらなる長期政権を目論んでいるのだから、狎治瓩覆鵑討匹海砲發覆ぞ態だといっていい。
 ところで、大きな拡がりをもって反対行動を生起させた、戦争法案(安保法制)の成立から、既に二年以上、経過したことになる。著者は、その時の行動(闘争)を、敢えて、「2015年安保」、つまり、60年や70年の安保闘争を敷衍するかのように、「2015年安保闘争」と捉えていく。
 「『2015年安保』は安倍政権のいう『平和安全法制整備法』(略)に反対する運動で、たしかに日米安保体制、そのもとでの新ガイドラインの新しい段階での具体化に反対する運動ではあるが、直接に日米安保条約に反対する課題をかかげたものではない。/この『2015年安保』は日本の戦後の民衆運動史のなかで、『60年安保』『70年安保』につづく大規模な大衆運動であり、(略)一連の大規模な、全国的市民行動を総称したものと考えられる。/それだけにこの運動は多くの経験と教訓に満ちており、これを振り返っておくことは今後の市民運動の展開を検討する上で、きわめて重要だ。」
 著者がこのように述べながら、「総がかり行動」の軌跡を詳述していく。2014年12月、「約半年の準備期間を経て、『戦争をさせない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会(略)』が『戦争をさせない1000人委員会』『解釈で憲法9条を壊すな!実行委員会』『戦争する国づくりストップ!憲法を守りいかす共同センター』の3団体によって発足した」のだという。そして、これまでの「組織」よって「動員」する運動とは別に、「総がかり行動」という幅広い呼びかけによって、「インターネットや新聞行動を媒介にし」て、「個人の参加を容易にした」ことで、「従来、反戦平和運動に参加していなかった人びとや、かつては参加していたがその後、参加していない個々人に参加の機会を大量に提供した」と述べていく。
 確かに、組織型運動では、拡がりに限界はある。個々人の参加が数多く参加して、いわば、自然発生的に運動が高揚していくことは、民衆運動(著者に倣うわけではないが、敢えて、わたしは大衆運動とはいわない)の理想的なかたちを表わしているといっていい。
 ひとつだけ、どうしても述べておきたいことがある。安保法制(戦争法)反対運動を著者が敢えて安保闘争と称していることだ。改憲反対という考え方が悪いわけではない。「日米安保体制、そのもとでの新ガイドラインの新しい段階での具体化に反対する運動」であること、それ自体、むしろ、“日米安保条約”に密接に関わることだと思うからだ。つまり、“日米安保条約”やそれに付随する“日米地位協定”は、憲法違反というよりも憲法を超えた法体制であることを忘れてはいけないと思う。もっと、極端にいうならば、日米安保条約体制そのものは、九条を逸脱しているといいかえてもいい。可能ならば、もう一度、本来の反安保闘争を惹起すべく、民衆運動の可能性を探りたいと考えるのは、わたしだけではないはずだ。
 著者は、「あとがき」で、「私たちはあきらめていない」と述べている。あきらめることは、“希望”をあきらめることになる。直近で、“希望”という言葉が、政治屋のせいで手垢に塗れてしまったが、「希望を探り当て」ることこそ、これから先へ進む契機となることだと、著者は、本書で、わたしたちに伝えようとしているのだといいたいと思う。

(梨の木舎刊・17.3.19)

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