先日、六代目小さん襲名披露興行を新宿・末広亭で見た。寄席通いして一年も満たないうちに、四月に真打昇進披露興行に立会い、今回は大名跡襲名の興行に立ち会うという機会を得てまったく僥倖の限りだと思う。だが、しかしといいたい。六代目になった新小さんは、前の名跡は三語楼といって先代の長男であった。これまで、何度か見ているはずだが、あまり印象に残っていない。むしろ五代目小さんの孫にあたる花緑(花緑の母が六代目の姉か妹かのどちらかだ)にはTVなどで顔が売れていることを差し引いても、やはり華があり、何度か高座を見ているが、期待感を持たさせる芸を披露している。
 この日は楽日、六代目の噺は、五代目が得意としていたという「蜘蛛駕籠」。わたしは、やや不満であった。酒の噺を得意としているというが、人物のつくりにあまり違いが見えてこないのだ。酔っ払い客と駕籠屋が絡む場面が特にそうだった。わたし(たち)のような外部は、円歌から“かゑる”いや馬風へと落語協会の会長が移って、ますます不明朗な名跡襲名や真打乱造が行われるのではないかと危惧する。先代小さん一門では、その実力からいって小三治が際立った存在だといっていい。もし、芸の質をもって名跡継承とするなら、六代目は小三治というのが衆目の一致するところだ。七代目は既に花緑へというのが、規定路線だとしても。はじめ、小三治が固持して、円満に三語楼が襲名することになったと思っていたが、どうもそうではないようだ。ほんらい、格からいったらこの一大興行に小三治も出演して華を添えるべきなのだろうが、鈴本、末広と続く、浅草、池袋の襲名披露興行にも小三治は出ないようだ。
 ともかく、“かゑる”いや馬風による横槍とも噂される六代目襲名だが、今後は本人が、その芸を、わたしたちに納得させていくことで、すべてを払拭させていくべきだろう。

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